人工知能はコピーできる知性 人間と人工知能の未来を語る~長谷川修インタビュー(後編)

人類が初めて作り出した知性は、人類の未来をどう変えるのか? まったく新しい知を生み出す領域、人工知能という学問を東工大の長谷川修氏に問いかける。(全2回・後編)

川口友万| Photo by Tomokazu Kawaguchi

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人工知能が新しい雇用や仕事を生む

AI
東京工業大学・未来産業技術研究所 准教授
SOINN株式会社 代表取締役CEO
長谷川修
【写真:川口友万】

― シンギュラリティ(技術的特異点)のような、人工頭脳が人間を超える話になるのは、なぜなのでしょうか?

 長谷川:何を根拠に人工知能が人間を超えると言っているのか、私はわかりません。人間を超えると言いますが、脳そのものがまだわかっていないのに、それを超えるも超えないもないんじゃないかと思います。

 天才と呼ばれる人たちの中には、変人扱いされたり、学校をドロップアウトさせられた人が大勢います。そうした人たちの知性も含めて、それを超えると言っているのか。

 ただ人工知能を軍事に利用するのは簡単なので、使い方を誤ると影響力も大きくなりますね。国連でも殺人ロボット禁止条約を作ろうという議論があります。毒ガスと同じように殺人ロボットは人道に対する罪にあたると考えられます。

― 人工知能が人間の職業を奪うという予測はどうお考えですか?

長谷川:20年前にはインターネットもなかったですし、グーグルや楽天もなかったじゃないですか? インターネットの影響で、新しいサービスや新しい雇用が生まれています。人工知能の場合も、それを使った新しい産業が出てくると思います。

 今の仕事でなくなっていくものはあるでしょうが、その分、新しい仕事が生まれるのではないでしょうか。

 古代ギリシャで哲学や美術が発達したのは、近隣諸国から集めた奴隷が代わりに働いてくれたからで、人工知能が労働を代わりにしてくれれば、今、忙しくてしょうがない人も余暇ができたり創造的な仕事に専念できる可能性があると思います。

― 今のご研究は?

 NTTコミュニケーションズとスマートフォンのアプリを開発しました。現在、レシートをデジカメで撮るとそのまま家計簿に入力できるソフトはあります。

 それでデータを溜めても、何が楽しいのかと。そこでSOINNを使って、その人に合わせて節約ポイントを提案します。

 家計簿は非常に個人的なもので、たとえば20代といっても、自宅から通っているのか寮に入っているのか、お酒を飲む飲まない、趣味の種類などで変わりますし、その人が結婚したらまた変わります。

 NTTコミュニケーションズが提供しているオンライン家計簿サービスのデータが何十万人分もあり、SOINNで解析したところ、その中には数千通りの家計のパターンがあることがわかりました。

 各ユーザの家計簿が、その数千通りのパターンのどれに近いのかを見つけて、それを家計簿の標準モデルに照らし、金額が突出しているところが節約のポイントになります。

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