【食べる科学実験】ヘビは本当に効くのか? 精力ムキムキ伝説を調査(前編)

蛇は精力に良いと昔から言われている。本当に蛇は効くのか? ただのイメージ、ゲテモノ食べるオレすごい、じゃないのか? 調べてみた。

川口友万| Photo by Tomokazu Kawaguchi|シリーズ:食べる科学実験

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皇帝の精力剤、雪蓮花

蛇
これが雪蓮花。乾燥状態で持ち込まれ、酒に漬けて使う
【写真:川口友万】

 黒焼きは要は炭だろう。炭を飲んだからって効くのか?

「昔からの言い伝えはいい加減で、マムシの黒焼きは強壮強精、でもシマヘビも強壮強精って書いてある。りんごも強壮強精」

りんごが効くなら、青森は子だくさんで大変なことになっているはずだが、そんなことはない。

「民間療法なので地域によって効能が違います。うちの町ではこういうものに効くと言われてきたと。いやいやそれが違うと説明しても、絶対に耳を貸さない。だからお客様が望まれるものをお出しする。

 するとまた買いにいらっしゃって、効いたよ、と。だから信じる者は救われるというのはだいぶあるんじゃないでしょうか」

 効く効かないは保証できないが、効くと思えば効くということだ。有効成分が含まれていないとまでは言い切れないが、基本的にはプラシーボなのだろう。

 蛇善では、黒焼き以外にも生きた蛇や漢方薬の原料も扱っている。

「中国に仕入れに行ったら、コブラ買わされたんですよ」

 さすが蛇善、仕入れるモノが違う。そういえばコブラもスタミナドリンクにはよく入っている。

 ちなみにマムシの毒だが、その正体はタンパク質。マムシ酒を飲んで、毒に当たらないものか? と不思議だが、タンパク質性の毒はアルコールで分解されてしまう。

「その時に、これは珍しいから売れるって……雪蓮花(せつれんか)って知ってます?」
 知らない。聞いたこともない。

「中国の皇帝なんかが飲んでいたそうです」

 チベット高原に咲く高原植物で、かつては皇帝や官僚クラスが独占していたらしい。

 効能は滋養強壮。成人男性が2週間続けて飲んだデータでは、射精回数や夜間勃起回数が有意に上昇、記憶力が向上、ストレスマーカーは低下した。

 雪蓮花は効くのだ。

 その成分はアルクチゲニンといい、ゴボウの種(解熱剤として漢方薬に使われる)などにも含まれる。アルクチゲニンの効用についてはゴボウの種での研究が進んでおり、抗がん作用が認められている。

 2013年3月から、国立がんセンター、富山大学和漢医薬学総合研究所、クラシエ製薬株式会社はゴボウの種からアルクチゲニンを抽出、『GBS-01』という抗がん剤として臨床試験を開始した。抗がん剤になるぐらい、強力に免疫系に働きかけるわけだ。

 雪蓮花は年数が経てば経つほど貴重になる。近年、日本にも入ってきているが3~5年物がほとんどだが、現地調達だけあって、蛇善が扱っているのは8年物だ。

蛇
ホワイトリカーに漬けて10日目。琥珀色がいかにも効きそうだ。効果が出るのは飲み始めて2週間後だ
【写真:川口友万】

 ホワイトリカーに漬けて1週間ほどで飲めるそうだ。漬けてあるものを試飲させてもらった。きっつい酒だが、後味は悪くない。続けて飲むと良さそうである。

 雪蓮花を買って帰り、家で漬けてみた。10日ほど漬けていたら、琥珀色に変わった。乾物のような匂いで、後味が苦い。苦い味の食べ物はそれだけで効くような気がする。

 3日ほど続けて飲むと寝起きが気持ちいい。友人に飲ませたら、やたら汗が出て体が軽くなったと喜んでいた。

取材・文 川口 友万

【後半に続く】

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