【食べる科学実験】ヘビは本当に効くのか? 精力ムキムキ伝説を調査(後編)

蛇は本当に効くのか? ごちゃごちゃ言わずに食べればわかると明治創業の蛇問屋で蛇を食べる! 蛇は効いたのか、効かなかったのか?

川口友万| Photo by Tomokazu Kawaguchi|シリーズ:食べる科学実験

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ハブバーグを食べて、精力チャージ!

蛇後
蛇の皮を剥ぐ魔女。魚をさばいて寿司も握る魔女なので、これぐらいではまったく動じず

 蛇の皮をはぎ、専用の機械で肉を叩く。蛇は小骨が多いのだ。

 蛇肉に多様なアミノ酸が含まれていることは知られている。中でもシスタチオニンというペプチド(いくつかのアミノ酸が結合したもの)は老化を防ぐ物質とされる。

 老化の原因はいくつも見つかっているが、そのもっとも大きなものが活性酸素だ。肺から吸収された酸素は代謝の過程で活性酸素に変わる。

 活性酸素はその強力な酸化力で体内の殺菌を行うと同時に、細胞も酸化させ、劣化させる。

 細胞内の抗酸化物質のうち、最強とされるのがグルタチオンというペプチドだ。

 細胞内で生産されるグルタチオンは、細胞呼吸により細胞内で還元され、侵入した活性酸素が細胞を酸化させる前に活性酸素と結合して無害化する。

 体内にグルタチオンが多ければ、活性酸素はそれだけ除去され、体内は若返る。

 シスタチオニンはグルタチオンの前駆体で、体内でグルタチオンに変化する。つまり蛇肉には強い抗酸化力があるのだ。

 しかも蛇にシステチオニンの量は桁が違う。マムシを例にとると、牛肉の80倍以上、うなぎの2000倍なのだ。

 他にも安眠させる効果やホルモン様物質としての作用(成分は未特定)もあり、マムシ酒が強壮強精というのは、成分的に間違っていない。

 蛇肉はミンチにし、ネギを入れてタタキにする。

「はい、お待たせしました」

蛇後
これがハブバーグ。蛇のタタキだ。わずかに後味に爬虫類特有のにおいが残る

 ハブのハンバーグ、いわばハブバーグ。見かけは大変においしそうだ。

 私は蛇は何度か食べたことがある。よく爬虫類の肉は鶏肉と似ているというが、似ているだけで別物だ。

 食感は鶏肉に似ているが、味は違う。上手に骨を抜いた蛇は、焼肉にするとおいしい。

 初めての蛇肉、どうですか、魔女?

「おいしい。ちょっと骨が当たるけど」

 私が以前食べたのはマムシとシマヘビ。ハブは初めてだが、それほどの違いは感じない。今までで一番おいしいと思ったが、それは肉の違いというより料理の差だろう。

 以前、一緒に蛇を食べた人は目が良くなったり、腰痛が消えたりした。翌日、どんなものかと思ったが、ほぼ徹夜で成田空港まで車を飛ばして、眠くならなかったのはハブのパワーだろう。

蛇後
女性客も多く、リピーターも多い。この日も4人連れがスッポンと蛇を食べていた

 では魔女は? この人を蛇に食べさせた方が蛇が元気になるぐらいのものである。精力があり余っている元気な人には、あまり意味がないと妙に納得。

 蛇は時価(一匹5000円~で2~4人前)。すっぽんも食べられるし、売ってもいる。最近、疲れているなと思ったら、シスタチオ二ンの補充に蛇にチャレンジしては?

取材・文 川口 友万

【了】

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