【食べる科学実験】ヘビは本当に効くのか? 精力ムキムキ伝説を調査(後編)

蛇は本当に効くのか? ごちゃごちゃ言わずに食べればわかると明治創業の蛇問屋で蛇を食べる! 蛇は効いたのか、効かなかったのか?

川口友万| Photo by Tomokazu Kawaguchi|シリーズ:食べる科学実験

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蛇の血を飲み、胆のうを啜る

 蛇を料理してもらった。冬場、マムシは冬眠中でほとんど手に入らないため、ハブを出してもらう。マムシ酒と並んでハブ酒も滋養強壮の薬用酒として知られている。

「みなさん勘違いしているんですが、ハブよりマムシの方が毒は強いんですよ」

 3~4倍も強いそうだ。ハブの毒で死ぬ人はいないが、マムシに噛まれて年間に20人ぐらいなくなっていると浅見さん。

蛇後
蛇の血を抜く。皮と背骨以外は、ほぼ食べられる

「もっと怖いのはヤマカガシ」

 名前は聞いたことがある。

「ハブの十数倍ですよ」

 毒蛇は毒牙の位置と歯の種類で大別される。毒牙の位置が前にあるのが前牙種、後ろにあるのが後牙種。注射針みたいな管状の歯が生えているのが管牙種。噛んだら毒が体内に注入される。

 対して溝牙種は歯が溝のようになっている。毒がしたたるので、噛まれても毒が全部体に入るわけではない。溝牙種として有名な蛇がコブラだ。

蛇後
蛇の生き血を喜んで飲む魔女。彼女はこのために呼んだようなものである

「コブラは目や口などの粘膜質を狙って毒を吐きかけます。歯が溝になってるからああいうことができるわけです。噛んでも毒が効率良く獲物に入らないんです」

 コブラの毒は神経毒だ。神経を麻痺させるため、毒が回ると心停止の危険がある。ただし蛇の毒にはピークがある。効き始めるまで時間がかかるうえにピークを過ぎると急に効力が落ちていく。

 だから血清を打つ時間もあるし、体内に入った量が少なければ症状も軽い。それに対して出血毒というもうひとつの毒はたちが悪い。

「唾液が進化したもので、すぐに消化を始めてしまうので噛まれたところが腐っていく」
 マムシの毒は神経毒と出血毒のハイブリッドだ。噛まれたところが腐り、神経もやられる。

「ハブの毒が強力だと思われているのは、管牙種なので一度に入る量が多いから。毒の強さはマムシの方が上です」

 ハブの食べ方は、

1.血を抜いて、その血をワインで割って飲む
2.内臓を抜いて、胆のうを酒で割って飲む
3.皮をはいで肉を叩き、ハンバーグ状にして食べる

 ハブの頭をクリップで挟み、血を抜くと蛇はほぼ即死。血をワインで割って飲む。血自体にはあまり味がなく、ワインの味が勝つ。

蛇後
これが胆のう。驚くほどグリーンだ。これ、とても良い感じがする

「胆のうも飲みますか?」

 若社長が濃緑の塊を見せた。胆のうを焼酎に落とすと真緑に変わる。胆汁の色だ。これが苦い。苦いが甘い。おいしい。

 胃腸薬の「熊の胆」でわかるように、胆のうは天然の胃腸薬だ。胆汁には消化酵素を活性化させる働きがあり、脂肪の吸収を助ける。

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俳句

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