ネコが消え、昼にコウモリが飛ぶ!? 地震の予兆を科学する
地震に先立って起こる様々な「宏観(こうかん)異常現象」。懐疑的な声もあるが、地震予知への応用が模索されている。
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この異変に気づき、素早い決断と行動をしたのが「青龍(チンロン)」という街の人々だ。47万人いた住民は行政主導のもと、家を離れテントに移り、夜間であってもいつでも逃げられるような体制を整えた。
結果的に地震は起こり、この都市でも18万もの家屋が崩壊したそうだが、犠牲者は心臓発作を起こした者1名にとどまったという。宏観現象を素直に捉えたことが効を奏した例として、今も語り継がれている。
1995年に起きた阪神・淡路大震災の前日には、イヌが落ち着きなく吠えて飼い主にかみついたり、飼いネコが姿を消したりしたなど、普段とは違う動物の様子が多数報告されている。
また東日本大震災ではイヌやネコだけでなく、一週間前頃から震源地付近の乳牛の出が減っていたことが明らかになった。
前兆を感じるのはなにも動物だけではない。大阪大学の故・池谷名誉教授が調べたところでは、阪神・淡路大震災が起こる直前に目を覚ました子どもの割合は、震源地に近ければ近いほど多かったそうだ。
これらの原因として、地震の直前に発生する硫黄のような匂いや電磁波、極超長波や過酸化水素などに、動物の鋭敏な感覚が反応するためではないかと考えられている。
異常現象と地震との関連を調べる研究は大真面目に進められていて、少しずつだが市民権を得つつある。
異常現象の収集は主にネットを通じて行われており、たとえば高知県のホームページでは南海トラフ地震に備えて、宏観異常現象の情報提供を呼び掛けている。
宏観現象から地震予知を試みる研究はまだまだ手さぐりの段階だ。非科学的とも揶揄されがちだが、一つでも多くの命が救えるならば、たとえ少しの可能性であってもかけてみる価値は十分にあるだろう。
文献
Bio-Mimetics of Disaster Anticipation-Learning Experience and Key-Challenges.
Tributsch H. Animals (Basel). 2013 Mar 19;3(1):274-99.
取材・文 工樂 真澄
【了】