脳に効くサプリはウソ? 太ると物忘れに? あなたの脳の改善ガイド
先日ATMでのこと。長年使った口座の暗証番号が思い出せず、適当に押したら案の定ブロックされるはめに…こんなちょっとした物忘れを改善する方法は?
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科学的に効果があると思われるのがコーヒーや紅茶、緑茶などの含カフェイン飲料。日常的に摂取することにより、注意力、認知能力の低下を予防することが示唆されている。
眉唾臭いサプリの中でも信頼がおけそうなのが「イチョウ葉エキス」だ。多くの臨床試験で好成績を収めていて、ドイツでは認知症の薬として使われているとか。
効能として「やや記憶力が衰え始めた健康な年配者で、認知能力(特に一瞬見たものの記憶力や認識処理速度)を向上させる」とある。
ただし、イチョウの摂取には十分に気をつけてほしい。そもそも血流をよくする作用があるので、出血傾向のある人は控えること。
生殖能力を妨げるので妊娠を希望している人はダメだ。また生の葉っぱは重いアレルギーを引き起こすから食べてはいけない。
生のイチョウの実はもっと危険で子どもでは命を落とすこともあるし、そもそもイチョウの実には効果がない。
イチョウ葉のサプリメントは品質のばらつきが大きく、有効成分が少ないものもあるので要注意だ。
イチョウ葉に含まれる「ギンコール酸」はアレルギーを起こすため、規格品では5ppm以下に定められているので、ここも要チェック。
しかし記憶力を高めるのにわざわざ品質の不確かな高いサプリを買わなくても、もっと簡単な方法がある。「カロリー制限」だ。
カロリー制限によって認知機能が増すことは動物だけでなく、人でも調べられている。
2009年にPNASに載った論文では、健康な成人(平均年齢60歳)に通常より30%カロリーオフした食事を3カ月間続けてもらったところ、通常のカロリーを摂取していたグループと比べて、記憶テストの成績が著しく向上した。
これはカロリーオフしたことでインスリン感受性が増し、脳の神経細胞で長期記憶に必要な遺伝子の発現が促され、神経の可塑性が増したためだと考えられる。
ただし、脳は主に糖分を栄養源としているから、いくらカロリーオフと言っても炭水化物の過剰な節制は逆効果なのでほどほどに。
【参考】
国立健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性情報」https://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv.html
Caloric restriction improves memory in elderly humans.
Witte AV et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Jan 27;106(4):1255-60. PMID:19171901
取材・文 工樂 真澄
【了】