驚愕の新説「重曹でがんが治る」の真偽は? 実は重曹よりアレの方がからだにいい?【おかしな科学】
世のニセ科学をぶった切る、疑似科学バスターのロッポンギヒロユキが世間のウソを見破ります。
スポンサーリンクトンデモは連鎖する――重曹は怖い、イーストも怖いの行きつく先は
一般に安心・安全な食品成分とされる重曹ですが、食品添加物にこだわる一部の人たちの中にはやっぱり危険だと考えている人もいるようです。
あるオーガニック食品の通販サイトには、「無添加商品の危険な添加物」というページで「ベーキングパウダー」を挙げ、その成分である「炭酸水素ナトリウム(重曹)」について、「人間の推定致死量は200~300gであり、毒性は『弱い』です」とわざわざ説明しています。
通常、重曹だけを200gも食べる人はいないでしょう。それでも、毒性が「弱い」と強調するのは、重曹やベーキングパウダーも絶対安心の食品成分ではないということを言いたいがため。その上で、「もし心配な場合は、代わりに「ドライイースト」を使ってみてはいかがでしょうか」とオススメしています。
というわけで、ここで、「カンジダ <重曹 <ドライイースト」という序列が出てまいりました。では、ドライイーストが完璧なのかと言えばさに非ず。ネットを探ってみると、「ドライイーストはからだに悪い!」という方たちが少なからずいらっしゃいます。なんだか話が連鎖してますね。
正確にはイーストとは酵母のことで、ドライイーストとは工場などの管理された環境で培養された酵母を乾燥したもの。
実は、「からだに悪い」とされるのは乾燥酵母ではなく、この酵母が活動するときの栄養源となるイーストフードとされています。その成分は塩化アンモニウム、塩化マグネシウムなどで、食品添加物嫌いな人たちからはとことん目のかたきにされています。
では、イーストフードが添加されたドライイーストよりもいいのは何かといえば、最終的には「天然酵母」ということになります。
こだわりのパン屋さんでよく見かけるアレです。「天然」というからには、衛生管理の行き届いた施設で培養されたのではなく、その辺で自然に繁殖していた酵母ということ。
つまり農作物に付着していたりキッチンの片隅で生息している真菌のことでしょうか?おっと、ひとつ大事なものを忘れていました。
人のからだに常在する天然の酵母……そう、カンジダですね。
つまり、重曹よりも、ドライイーストよりもからだにいいのは、カンジダということになります。ここでついに「カンジダ <重曹 <ドライイースト <天然酵母=カンジダ」ということになり、ぐるっと回って元通り、連鎖の輪が閉じてしまいました。
私たち人類は、カンジダ感染によるがんの恐怖から逃れられないことになってしまいます。一体どうしてくれるんですか、シモンチーニ“元”医師!
※ちなみに、人のカラダに常在するカンジダから膣内を守ってくれるのがデーデルライン桿菌という常在菌。こちらは乳酸菌の一種で、膣内を酸性に保ってくれます。重曹は関係ありません。
取材・文 ロッポンギ ヒロユキ
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