米国で相次ぐ警官の黒人射殺 狙われるリスクは白人の最大22倍
米国警官は黒人を「狙う」。米・カリフォルニア大学デービス校のコディ・ロス博士が昨年の11月に発表した推計をみると深刻な問題が明らかになる。
スポンサーリンククローズアップされた根深い「偏見」
警官による黒人男性の射殺が相次いでいる。ルイジアナ州とミネソタ州で黒人男性が警官に射殺されると、その様子がインターネットにアップされ瞬く間に拡散。
大規模なデモが起こったダラス市では警官との間に報復ともとれる銃撃戦が起こり、5人の警官が死亡した。
あらためてクローズアップされたのは根深い偏見だ。米国の警官は黒人を「狙う」。銃を持たない黒人が警官に発砲されるリスクは、同じく銃を持たない白人の3.49倍。
しかも、銃を持たない黒人と銃を持った白人というかけ離れた条件で比べても黒人が警官から発砲されるリスクが1.04倍高くなる。
つまり、警官は、白人よりも黒人を3.49倍撃ちやすく、さらに銃を持った白人よりも持たない黒人を撃つ傾向がある。
これらの数値は、米・カリフォルニア大学デービス校のコディ・ロス博士が科学誌『Plos One』で昨年の11月に発表した推計値だ。警官の狙いが人種や民族で偏っていることを明らかにしている。
しかし、この数値はあくまでも全体の平均値にすぎない。白人と比べてどれほど黒人が撃たれるリスクが高いのか、米国にある3156群の地域ごとの数値をみると問題の深刻さがよりはっきりとわかる。
7月7日の夜に警官5人が死亡する銃撃戦が起こったダラス市のあるテキサス州ダラス郡では、銃をともに持たないケースで警官に撃たれるリスクは黒人のほうが白人の2.1倍と平均よりも低い。
しかし、この銃撃戦の発端になったとされる射殺事件が起きた2つの地域は、より黒人のリスクは高くなる。
米メディアの報道をまとめると、7月5日未明にルイジアナ州イーストバトンルージュ郡ではコンビニの外でCDなどを販売していた黒人男性アルトン・スターリングさんが2人の警官に取り押さえられ射殺された。
同郡では銃を携帯していない黒人が警官から発砲されるリスクは白人の5.07倍。
翌日7月8日夜にはミネソタ州ラムゼー郡で運転中の黒人男性フィランド・キャスティールさんは警官に命じられ、停車した後に銃所有にライセンスを提示しようとしたところを射殺された。
同郡では銃を持たない黒人が警官に撃たれるリスクは白人の4.11倍。銃を持っていると警官に発砲されるリスクは、白人の4.47倍とさらに高くなる。