スマートフォンで一時的に「失明」 就寝前後の寝ながら操作にご用心
いつでもどこにでも持ち歩き、もはや手放せなくなったスマートフォン。でも、ベットでの使用には「危険」があると英・モアフォールズ眼科病院の医師ら指摘している。
スポンサーリンク患者たちの共通点は“寝ながらスマホ”
もはや体の一部のように、ひとときも離さず持ち歩くスマートフォン。しかし、最近では画面を照らすLEDのブルーライトが視力低下などの引き起こす危険性が指摘されている。
英・モアフィールズ眼科病院のゴードン・プラント医師らもスマートフォンが原因となった視力障害を報告している。
22歳の女性にその症状があらわれたのは来院する1年ほど前から。夜になると右眼に視力障害で出るようになった。右眼で認識できるのは物体の輪郭だけ。その症状は1週間に2、3回のペースで起こっていたが、やがて毎晩発症するようになる。
眼の検査や視力障害を引き起こす循環器系疾患の検査、MRIなどを実施しても結果に異常はみられない。彼女は飲酒や喫煙、ドラッグもやらない。食生活にも問題はなかった。
また、40歳の女性は一方の眼だけ、起床後の15分間だけ失明が起きていた。この症状は6ヶ月以上、断続的に続いていた。眼を検査してもやはり視力や眼球そのものにも異常はみつからない。
脳への血流が一時的に悪くなる一過性脳虚血発作の可能性を疑われ、アスピリンを処方された。他の疾患を疑い、様々な検査をしたが異常はみあたらなかった。
医師たちは患者から詳しい経過を聞いているとおかしな共通点に気づく。ひとつは体に異常はないが、限られた時間だけ片眼に障害がおこっていたこと。もうひとつはスマートフォンの使用だ。
1人は暗闇でベッドに横たわりながらスマホを操作した数分後に症状があらわれた。そして、もう1人も起床前にベッドでスマホを使った後に発症していた。2人の研究者が自ら被験者になりスマホの影響を調べた。
人の視力は周囲の明るさに合わせて調節し、視力を保とうとする。たとえば、明るい場所から暗い場所に移動すると、眼は弱い光の中でも視覚を確保するために感度を上げる暗順応という調節を行う。
また、暗いところから明るいところに移動すると、はじめはまぶしいが眼が感度を落とす。おかげでしばらくすると視野が開ける。これを明順応と呼ぶ。医師たちはこれら眼の調節が2人の症状の鍵を握っているとふんで視力障害の原因を特定する実験を開始した。