【あぶない科学実験】脳に電気を流すと頭が良くなる! 謎の電気刺激を自作
脳を作り替え、高性能化する! 脳に直流電流を流すと、反射能力が2倍にも強化されるというのだ。恐ろしく単純な仕組みだったので、自作してみた。結果は恐ろしいものだった。
スポンサーリンクゲームのスコアが2倍になった? 謎の軍事技術
ウソくせえ、と思った。
脳に電池をつないだら、反射神経が2倍に跳ね上がったというのだ。
2011年4月13日付のネイチャー誌の記事『Neuroscience: Brain buzz』によると、実験を行ったのはニューメキシコ大学のビンセント・クラーク博士。米国防総省の国防高等研究計画庁=DARPAから研究資金を受けており、これは軍事目的の研究である。戦場で兵士の士気を高めておく技術の確立が期待されているのだ。
クラーク博士は9Vの電源と可変抵抗器、電極を用意し、イラクに派兵される兵士からボランティアを募った。兵士のトレーニングではテレビゲームが利用される。そこで脳に通電し、その強弱でゲームの結果が変わるかどうかを試験したのだ。
電極はこめかみのやや上で、右にプラス極、左にマイナス極を貼り付ける。そのため、電流は脳の前頭前野を通過する。前頭前野は感覚器官の情報を統合し、思考を生み出し、本能をコントロールし、行動の予測や集中力を生み出す。人間を人間たらしめる部分だ。
実験の結果、0.1mAの微弱電流を流したチームと2mAの電流を流したチームでは、2mAの電流を流したチームのスコアがおよそ2倍になったという。つまり前頭前野に電流を流すと脳の機能がアップしたのだ。
脳を電流で刺激する技術は、tDCS=経頭蓋直流刺激といい、ルーツは電池が発明された17世紀末まで遡る。カエルの足に電流を流すと伸縮するが、ようはアレである。アレがtDCSだ。
カエルの足の代わりに脳みそに通電したわけだ。乱暴である。
しかし、では脳に電気を流すことはないのか? といえば、これがちゃんとした治療法として確立しているのだ。
サスペンス映画で見たことがないだろうか? 精神病院に閉じ込められた脇役Aがベッドに縛り付けられ、頭に電気極を付けられて、ビリビリビリ!
電気けいれん療法という。こめかみから100V・200~300mAの交流電流を数秒間流すと、全身の筋肉が硬直し、けいれんする。脳内の血流は増加、神経伝達物質が大量に分泌され、結果的に脳内が正常化するという。現在でも、麻酔下で筋弛緩剤を投与してから通電する修正型電気けいれん療法が、うつ病や恐怖症などの治療に広く用いられている。
クラーク博士の実験は電極の場所は電気けいれん療法と同じだが、電圧も電流もはるかに低く、直流を使う。別物だ。