日仏メディアアートのフェスティバル「デジタル・ショック」開催中 テーマは“フュチュラマ”(未来展望)

メディアアートやデジタルカルチャーが脚光を浴びる国・フランス。今ならそのトレンドが「デジタル・ショック」で体験できる。

山下祐司| Photo by Yuji Yamashita

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「最近のフランスのトレンドは先端科学技術からローテク、バーチャルから物質」

フランス
ダビィット・バンケ「セミコピア」 科学技術的な解決策?
【写真:山下祐司】

 食料問題、特に食肉の需要と供給に注目し、食肉の需要と供給のバランスから不確かな未来を提示するのがダビィット・バンケの3つ作品からなる「セミコピア」。

 世界中で消費量が増え続けている肉。特に近年のアジアの伸びは群を抜いている。

 食肉の需要は経済的な豊かさに、供給は牛や豚の生産量に依存するが、ここに人口の急増と科学技術の発展、そして富の再分配を組み込んだ3つ未来像を提示する。

 もし、世界中の食肉需要が大幅に伸び、分配の平等性が守られなければ培養肉だけが人々の「欲求」を満たす方法になるかもしれない。

フランス
落合陽一の作品「アリスの時間」 ここから「時間」はどう投射される?
【写真:山下祐司】

 AMITとのコラボレーション企画として展示されているのが、筑波大学の助教を務め「現代の魔法使い」との異名をもつ落合陽一の作品「アリスの時間」だ。

 壁に円状に掲げられた12個の時計が発光し、レンズで集光された像が壁面に映し出される。

「最近のフランスのトレンドは先端科学技術からローテク、バーチャルから物質へ向かっている。

 フランス人の私からみると、落合さんの作品は技術的にシンプルなシステムで、かつ物質の魅力に富む現代的な作品だと思う」とサンソン・シルヴァンは話す。

 時計の針から受ける時間の変化はとても不安定。時間は視覚で認識される感覚ゆえに主観性が高く、その流れは常に同一方向に流れるものではない。

 速度の速い乗り物にのると、時間の進行がゆっくりになると証明したアインシュタインの相対性理論は大きなインパクトを残したが、より高い弾力性をもつ「時間感覚」をここでは体験できる。

 デジタル・ショックとMATとのコラボレーション作品にはフランスの著名なアーティスト集団、1024 architecture による「WALKING CUBE」やメディアアーティストのアレックス・オジエによる「ヴォクセル」が六本木ヒルズで展示されている。

『第5回「デジタル・ショック」』
会期:2016年2月19日(金)~3月21日(月・祝)
会場:アンスティチュ・フランセ東京、東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)、SuperDeluxe、Atsuko Barouh arts drinks talk、座・高円寺、ほか
主催:アンスティチュ・フランセ日本

リンク:アンスティチュ・フランセ東京公式HP

取材・文 山下 祐司

【了】

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