本物より本物っぽい? MITがドナルド・トランプのツイッターボットを開発
問題発言の多さで知られる米大統領共和党候補のドナルド・トランプの発言を分析、学習した人工知能と本人との対決は実現目前か!?
スポンサーリンク米マサチューセッツ工科大学(MIT)コンピュータサイエンスおよび人口知能研究所(CSAIL)の研究者が、まるでトランプ本人のようにツイートする「トランプ・ツイッターボット」を開発した。
ボットは人工知能(AI)アルゴリズムを元にしており、トランプ氏の勝利宣言スピーチやディベートの原稿から学習したという。ボットのツイッターアカウントは@DeepDrumpfだ。
MITのブラッドリー・ヘイズ研究員は、システムがデータの特徴を学習して抽出するディープラーニング(深層学習)を使って、コンピューターがパターンを見つけられるようトレーニングした。
トランプのボット開発を思い立った理由のひとつは、2015年10月20日付のボストン・グローブ紙による各大統領候補のスピーチ分析で、トランプの言語パターンレベルが「小学校4年生程度」と判定されたためという。
「シンプルで研究のモデルにぴったり」だったからだ。実際ボストン・グローブ紙も「簡単な言い回しは、140語のツイッター世代の有権者には広く受け入れられやすい」と記している。
ツイッターボットは意味不明の発言もするが、発言のどこか一部は「まとも」で、この点はトランプとまさにそっくりだ。ボットのアルゴリズムはリアルタイムで受け取るさまざまなデータから学習しつつ、これまでに学習したデータと組み合わせ、トランプ「らしい」ツイートを生み出す。
また本人のツイッターアカウント(@realDonaldTrump)とも連動している。この場合には、本物がツイートすると、それに沿った形のツイートをする仕組みになっている。例えば3月15日の発言はこんな感じだ。
本物のトランプ氏
「仕事をアメリカに戻し、企業が出ていかないようにする。ほかの誰にもできない。経済は再び『歌う』だろう」
ボット
「国のインフラを再建する。私のようにできる人間はいない。信じてほしい」
Rebuild the country's infrastructure. Nobody can do that like me. Believe me. @realDonaldTrump https://t.co/M47P6btbVT
— DeepDrumpf (@DeepDrumpf) 2016年3月15日
ヘイズ研究員はほかの大統領候補のボットも開発し、互いがリアルタイムでツイートを通じてディベートできるようにしたいという。
実現したらどんな討論が繰り広げられるのか、興味をひく研究だ。
取材・文 岡 真由美
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