ちゃんとした器械を作って、出直せ！

　そもそも水素が常温の水に溶けるのか？　という根本的なところが疑問だ。

『理科年表』の「気体の水に対する溶解度」を見ると、1気圧・摂氏20度で1立方センチ＝１mlあたり0.018立方センチ。窒素が同0.016、酸素が同じく0.031だから、窒素ぐらいは溶ける。つまりほとんど溶けない。

　圧力をかけると気体は水によく溶ける。ヘンリーの法則（一定量の液体に溶解する気体の質量はその気体の圧力に比例する）である。なので水素水は加圧しているはずで、栓を開けたらあっという間に水素は抜けてしまう。

　水素自体の効果は、よくわからない。論文だけならポジティブなものが山ほど出ている。お医者さんの研究待ちだ。

　水素の医療応用の第一人者である、日本医科大学・太田成男教授によると、2016年3月現在で臨床研究は、

(1) 2型糖尿病（水素水）（人数30）DB
(2) メタボリックシンドローム（水素水）（人数20）
(3) 慢性腎不全（透析）（人数29）
(4) 炎症性またはミトコンドリア性筋症（水素水）（人数31）DB
(5) 放射線治療の副作用軽減（水素水）（人数49）
(6) 関節リウマチ（水素水）（人数20）
(7) 筋肉疲労と血液乳酸（水素水）（人数10）DB
(8) 圧力皮膚潰瘍（人数22）
(9) 間質性膀胱炎（人数30）DB
(10) 脳虚血（腹腔注射）（人数38）
(11) 紫外線による皮膚障害（水素ガス）（人数28）
(12) 脂質代謝異常（水素水）（人数20）
(13) 慢性B型肝炎（水素水）（人数60）DB
(14) パーキンソン病（水素水）（人数17）DB
(15) 関節リウマチ（関節注射）（人数24）DB
(16) 運動による筋障害（サプリメント）（人数36）
(17) 運動による乳酸血症（水素水）（人数52）DB
(18) 静脈流改善（水素水）（人数34）DB
(19) 脂質代謝異常（水素水）（人数68）DB

などが行われているそうである（HP 太田成男のちょっと一言」より）。

　効くに越したことはないんだから、腎不全でもリウマチでも何でも治せるなら治していただきたい。

　水素水は、ようはアルカリイオン水と同じだろうという話にしても、太田教授は〈ト○ム社やパ○○ニック社から出されている機器は、昔はアルカリイオン水製造機と言っていた機器が、現在は水素水製造機と名前を変えて売っているので悪質〉と容赦がない。

　そして、〈先日は、パ○○ニック社の社員が10人くらい、私の研究室に訪れましたが、「ちゃんとした器械を作って、出直せ！」と怒鳴ってしまいました〉（同HP）

　●ナソ●●●も懲りないなあ。マイナスイオンで懲りたんじゃないのか。大手メーカーだからって信用ならない。結局、ただの商売だからな。

　そういうことなので、誤解なく。