幽体離脱はオカルトなんかじゃナイ!! 科学的幽体離脱のススメ
天井に浮いた自分が眠る自分を見ている……幽体離脱は単なる思い込みなのか、本当にそんなことが起きるのか、科学的に考察する。
スポンサーリンク明晰夢は自由に操作できるのか?
さらにゴムの手の錯覚を進めて、体全体で行ったらどうなるのか?
スイスのカロリンスカ研究所の神経科チームが行ったボディスワッピング=肉体交換の実験は次の通り。
被験者とほぼ同じ体型のマネキンを用意、被験者とマネキンにカメラとモニターがセットになったヘルメットをかぶせる。それをつなぐ。
すると何が見えるかというとマネキンの体とその先に立っている自分だ。マネキンの視界が自分の視界となり、マネキンと自分の視界が入れ替わるのだ。
被験者がマネキンの体を自分の体と錯覚したところで、マネキンの腹の上でナイフを滑らせ、その腹に傷をつけた。どうなったか?
脳波が跳ね上がった! マネキンの腹を切られた被験者は、“痛い”と感じたのだ。
つまり脳には体の外へ意識を移動したと錯覚する機能があり、天井に意識があると思えば、意識は天井へ“移動する”。
天井から寝ている自分が見えるかどうかはともかく、意識というのは五感の情報に頼る曖昧なもので、十分な想像力さえあれば、人には寝ていながら天井で物を考えることができる。
そこに意識の主体があると強く思えば、意識はそこへ“移動する”。ここまでは人間にある機能だと科学が証明したわけだ。
これが眠っている体から意識が抜け出すメカニズムだ。ではその後、意識が入るという異世界は何なのか?
幽体離脱が趣味の会社員が書いた本『体外離脱するサラリーマン』(とみなが夢駆/ハート出版)によると
<体外離脱してしばらくすると、僕はラーメン屋にいました(中略)麺はツルツルシコシコの中細の縮れ麺。スープは醤油味で、こってり豚骨とさっぱり魚介のダブルスープ>
<「あなたは会社の顔なんだから、もっと美人になりなさい」と、その女性の肩に手を置き、女優のような、ハーフ系の美女に変身させてあげました。 (中略)その、美人になった受付嬢が、「美しくなった私を、もっと見て…」と、いきなり服を脱ぎだし、大勢のギャラリーがいる前で、なんと全裸になって>
……夢だろう、これ?
幽体離脱サラリーマン、略して脱サラくんによると<五感ははっきりしているし、ものすごくリアルな世界>で<普通の夢と違い、その中で自由に行動もできます>とのことなので、きっと夢ではない!
夢には明晰夢と呼ばれる、現実とまったく区別のつかない鮮明な夢がある。明晰夢は半覚せい状態の時に発生しやすく、金縛りにあったまま、異生物に異世界へ連れて行かれたという場合はまさに明晰夢である。
意識の体外離脱と明晰夢が組み合わされば、幽体離脱は起きるのだ。そしてそれは体の外で起きているのではなく、すべて脳の中で起きている幻影、イリュージョンである。
明晰夢が起きている時の脳は半覚せい状態であるため、外部からのコントロールを受ける。
幽体離脱中、周囲の音や変化を起きている時と変わらずに意識できるというが、脳は半ば覚めているのだから当然だ。
そこで外部から特定の刺激を与えることで、明晰夢をコントロールすることは可能かもしれない。
訓練により、明晰夢は意識的に内容を操作できるという。その技術を外部刺激で行えれば、ディズニーランドも目じゃない、自分だけの究極のファンタジー世界へ旅立つことが可能になるのだ。
取材・文 川口 友万
【了】