【食べる科学実験】電気肉は本当に旨くなっているのか!? 人工知能搭載味覚センサー出動! 第2回(全3回)

鶏胸肉に電流を流すとおいしくなるらしい?  インチキ科学か、食の革命か? その真偽を調べるため、人工知能搭載の味覚センサーで電気肉を分析! すると驚くべき結果が出た!

川口友万| Photo by Masahiko Taniguchi , Tomokazu Kawaguchi,Kagakujikken sakaba|シリーズ:食べる科学実験

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【第1回はこちら】

懐疑主義者、電気肉を疑う

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高電圧をかけ青く発光した肉【写真:谷口雅彦】

 「本当かな、本当に違うのかな?」

 私が毎週日曜日に開いているバー、〝科学実験酒場〟 で通電した肉=電気肉を出してみた。すると作家の皆神龍太郎氏がいじわるそうに言うのである。皆神氏はインチキ科学を笑いのめした本を出す団体『と学会』の重鎮であり、日本における懐疑主義者の筆頭だ。

 「怪しいなあ~プラセボなんじゃないの~? ト~ンデモ~?」

 プラセボねえ。プラセボ=偽薬効果は凄まじい。ハゲ薬と偽り、ビタミン剤を飲ませたら1割弱の人は髪が生えてきたそうだ。自己暗示にかかると、髪さえも生えてくるのだ。まして肉の味なんて。

 弱気になりつつ、鶏肉に電気を通そうとしたら

 イテテテテッ!

 油断した。感電した。

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科学実験酒場では電気肉のデモンストレーションを行っている。電極につないだ肉は放電、熟成する【写真提供:科学実験酒場】

 店ではウケを狙って肉に1万5000ボルトを通電している。それぐらいの高電圧をかけると、肉の周りから放電が起き、肉自体が青く発光する。発光肉だ。発光肉と元の肉を焼いて出し、客に食べ比べてもらう。

 地球上で、光る肉の食べ比べをやっている店はうちだけだろう。自慢だ。

 カウンターの上に厚さ1センチのゴム板を置いて、その上で通電する。それでも高電圧はゴム板を突破する。突破した電気はカウンターを超えて私に流れっぱなしだ。電気が体の中でぐるぐる回っている分には問題はない。体の外へ電気が流れ出たら、感電する。

 指がどこかの金属に触れたらしい。その瞬間、電気が一気に流れた。指先がものすごく痛い。

 危ない飲み屋である。地球上で、感電する店はうちだけだろう。反省だ。

「こっちかな? どっちかな? さあ、投票だ! こっちがおいしいと思う人!」

 皆神氏はやたらにうれしそうだ。腹立たしい。8000ボルトほど流して、出っ腹の肉をおいしくしてやろうか。

「こっちが6人? そっちが3人? で、どっちが電気肉?」

 こっちが電気肉……ということはダブルスコアじゃん! 

 66%の人が電気肉の方がおいしいと答えました。すべての人が電気肉を選ぶまで、私たちの挑戦はつづきます。電気肉チャレンジ! 

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高電圧だけではなく、電極を肉に直接つないでも同様の効果になる。通電した肉は内側から発光する【写真提供:科学実験酒場】

 やっぱり電気で肉はおいしくなるのだ。

「どうかなあ~?」

 まったくこのオヤジは! 皆神龍太郎を納得させるにはどうすればいいのか?

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