【食べる科学実験】なぜ人はラーメン二郎に並ぶのか? 魅入られる謎を科学で解明
開店前から閉店まで延々と途切れることなく人が並ぶ謎のラーメン屋「ラーメン二郎」。その何がそれほど人を熱狂させるのか?
スポンサーリンク人体実験か? ラーメン二郎が食べたい衝動
「ニンニク入れますか?」
コールという。追加注文だ。
えーと入れてください、あと油マシで。
何とかマシマシと言えば、量をアレンジしてもらえるのだ。それを「ヤサイマシマシアブラマシカラメニンニク!」「ヤサイニンニクカラメメンカタ!」とか、呪文のように言わなくてはジロリアンに鼻で笑われるらしい。
私の頼み方では笑われるどころか、見下されるのだろう。このブタめ!
しかし他の客も「野菜マシカラメで」「ニンニクいらないです、メンカタメで」と呪文というほどもない。みんなジロリアンに鼻で笑われたいらしい。
丼に山盛りの野菜の上に野菜を載せ、さらに野菜を載せ、そこにスープ鍋の上澄みの、背脂の固まりが浮いたところをひしゃくでかけた。
野菜が多すぎて丼からだらだらスープがこぼれている。それを上からギューッと押えつけて、店員が叫んだ。
「スープ捨てたよ!」
スープ捨てたよって。しかも床に?
ハイ、おまちどう、と出されたそれはラーメンというか、食べ物? 野菜が多すぎ、ぶたがでかすぎ、脂が層を成し、麺は? 麺が見えない。
食べて後悔した。なんで油マシなんて頼んだんだ?
油が多いなんてものじゃなく、油のせいでスープに届かない。油でぎとぎとの野菜は噛んでも味がしない。油には味がないんだな、と無駄にわかって不愉快だ。
黙々と食べ、食べながらだんだん朦朧とし、肉と油でくちゃくちゃになりながら汗を流した。おいしいんだかおいしくないんだか、臭いし。豚臭いし。麺がやたら太いし。
食べ終わってものすごく疲れた。店を出た客が暗く黙っている理由がわかった。一度食べりゃ十分だ、肉も脂も半年は見たくもない……と帰ってすぐには思った。ところがだ。
数日後である。急にまた食べたくなったのだ。むわっと豚の臭いが蘇えり、同時に沸き起こった焦燥感。
く、食いたい!
なぜだ! なぜ食いたいのだ。うまくないぞ、むしろマズいぞ? なのに、なぜ?
ラーメン二郎は3度目からやみつきになると言われている。この妙な突き動かされる感じがそれか。わが身に起きたこの衝動、科学的に説明がつくのか?