【食べる科学実験】 理系大好き“キムワイプ”で肉まんを作ってみた

以前、中国で段ボール入り肉まんが話題となった。じゃあ、理系大好きキムワイプで肉まんを作ってみたらいったいどーなる!? 食べられるの? キムワイプ。

川口友万| Photo by Kawaguchi Tomokazu,Mai Takami|シリーズ:食べる科学実験

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ダンボール肉まんからキムワイプ肉まんへ

キム
キムワイプで盛り上がる学生諸君。アシスタントのコスプレアイドル、高実茉衣は初キムワイプ
【撮影:川口友万】

 ダンボール肉まん事件をご存じだろうか? 食品偽装事件が相次いで起きていた2007年12月、中国のテレビ局が、肉まんの肉餡の代わりにダンボ―ルを使った偽装肉まんが売られている! と大々的に報じたのだ。

 ダンボ―ルが肉に?

 さすが中国4000年、足のあるものは、机以外、何でも食べるというのは本当だったかと感心したが、これはどうやらスクープ狙いのウソ報道だったらしい。そのあたりは日本のメディアと変わらない。

 その割には作り方まで詳細に出ていて、ダンボールを水酸化ナトリウムに浸し(塩酸という報道もあった)、繊維をボロボロにして肉と混ぜて販売していたという。

 だから本当にダンボール肉まんはあったのだけど、国営企業がからんでいたために虚偽報道として揉み消されたのではないか、という勘ぐりもある。真相は不明だ。

 ちなみに、事件の直後、秋葉原で売られたダンボール肉まんは、ダンボールの容器に肉まんを入れたものだった。

 ダンボールが紙ならキムワイプも紙である。ダンボール肉まんの作り方で肉まんができるのではないか?

 水酸化ナトリウムでも繊維は分解されるが、ちょっと怪しい。水酸化ナトリウムは、たとえばミカンの薄皮を溶かして缶詰用のミカンを作るぐらいには使えるが、繊維自体を分解するほど強力じゃない。

 葉っぱを水酸ナトリウムで煮ると葉脈は残る(中学生の理科でしおりを作った人もいるだろう)。キムワイプは葉脈のような植物の繊維の塊だから、水酸化ナトリウムで溶けるとは思えない。

 そういうわけで塩酸だ。塩酸で煮て溶かし、水酸化ナトリウムで中和する。このやり方は、実は髪の毛から醤油を作るという実験で、髪の毛しょう油を作った時に習得済みだ。髪の毛が溶けるなら、キムワイプごとき溶けないわけがない。

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