電磁波が植物を発芽させない? 無線LANルーターの害毒は本当か?

無線LANルーターのそばでは植物が育たない! 数年前、デンマークの女子中学生の行った世間を騒がせた実験「電磁波は生物に悪影響」について追試をしてみた。

川口友万| Photo by Tomokazu Kawaguchi

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女子中学生の実験を追試する

電磁波
実験条件を合わせるため、コショウソウを購入。英名ではガーデンクレスという
【写真:川口友万 以下同】

電磁波
皿に脱脂綿を敷き、コショウソウの種をまく

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無線LANルーターの周りにコショウソウの種を置いた皿を6皿置く

電磁波
7日後、種はすべて生えそろった。電磁気の影響はない?

 実際に追試するのが一番である。コショウソウの種を購入、紙皿に脱脂綿を敷いて水に浸し、コショウソウの種をばら撒いた。その皿を12皿作った。

 家庭用無線LANルーターの周りに6皿を置き、残り6皿のうち1皿を無線LANルーターからやや離れた場所に、2皿を同じ部屋の離れた場所、2皿を別室に置いた。

 3日後。コショウソウの発芽が始まった。無線LANルーターの周りのコショウソウも別室のコショウソウもすべて芽が出始めている。デンマークの女子中学生によると発芽しないはずだったが、とりあえず様子を見る。

 10日後。すべての皿からわさわさと元気に芽が伸びた。どこに置いた皿も、成長に変わりはない。

 どういうことなのか? デンマークの女子中学生はウソをついたのか? カロリンスカ研究所は追試したのか? 無線ルーターによる影響がまったく見られないではないか。

 電磁波の波長や出力を測るには高価な機材が必要だが、磁場であれば、数千円で測定器を購入できる。

 そこで無線LANルーターからの磁場を測定すると0.1ミリガウスだった。無線LANルーターの周囲には、ほぼ磁気はないと言っていい。

 磁界の強さは電波の強さと等しいので、無線LANルーターの環境に与える影響はないといっていいだろう。生物と相互作用するようなレベルの強さではないのだ。

 CDコンポは3ミリガウス前後とこちらは小児がんが2倍になるという磁界の強さである。オーディオマニアの家庭で子どもがガンになるという話は今まで聞いたことがない。

 鉢植えのそばに電気式の時計を置いているが、こちらは25ミリガウスを超えていた。だが鉢植えはまったく枯れる気配もなく非常に元気だ。

 電磁波や食品添加物、洗剤など私たちが日常的に利用する製品に人体に有害な要素が含まれており、企業と国が結託し、利益のためにデータを捏造・隠ぺいしているという話は定期的に出てくる。

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無線LANルーターを磁気測定器で測るが、ほとんど磁場はない
【写真:川口友万】

 過去、水俣病やイタイイタイ病、狂牛病など企業の利益優先主義により、多くの被害が出た事例は多数あり、新しいテクノロジーに対して過敏に反応する気持ちは十分にわかる。
 
 だが、だからといって実証性の薄い、しかも今回のように中学生の不十分な実験を世界に配信し、不要な恐怖感をあおるのはけして健全な行為だとは言えないだろう。

 水さえ与えれば発芽する種がなぜデンマークの女子中学生の実験では発芽しなかったのか? 

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観葉植物の隣りにある置時計の磁場は25ミリガウスと強力。でも植物はどんどん育つ。
【写真:川口友万】

 そこに十分な水を与えないなどの意図的な操作はなかったのか? そうであればそれは企業が行うとされる情報の操作や隠ぺいと何も変わりがない。

 都合のいい正義は正義ではなく、科学実験は同一条件でなら誰がやっても同じ結果が出なければ実験として成立しない。

 企業を疑うように、市民団体などが反企業として発表する情報には十分に警戒する必要があるのだ。

取材・文 川口友万

【了】

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