ダイエットで制限すべきは糖質か脂質か? その決め手はあの「伝説の健康飲料」【おかしな科学】
世のニセ科学をぶった切る『おかしな科学―みんながはまる、いい話コワい話 』(楽工社)の共著者で、疑似科学バスターのロッポンギヒロユキが世間のウソを見破ります。
スポンサーリンクデブ化の原因は脂肪か糖質か?
効果的なダイエットとは何かを考えるとまず、デブ化の原因が糖質=炭水化物なのか、脂肪なのか、という大きな疑問が浮かんできます。
アメリカの国立衛生研究所のケビン・ホール博士が昨年8月に発表した研究によると、脂質制限した人より、炭水化物を制限した人の方が体脂肪は減少しやすいとのこと。
「肥満成人の脂肪摂取を制限することで、炭水化物を制限するよりも体脂肪を68%多く減らすことにつながった」というから、かなりの成果です。
ここに、どんなに食事を減らして運動をしてもダイエットに成功しなかった原因があります。無駄に脂肪を制限したせいで、体脂肪の燃焼を抑えてしまう結果につながります。
むしろ、良質の脂肪を摂ることで代謝の改善が行われるという研究は、糖質制限ダイエットの考え方に沿うものだと言えるでしょう。
しかし逆に、脂質こそダイエットの大敵とする研究もあります。今年6月に科学誌『ネイチャー』で発表された研究です。
エール大学のジェラルド・シュルマン教授らを中心とした研究チームによれば、マウスに高脂肪の食事を与え続けると、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバクテリアによって酢酸が多く産生され、インスリンとともに食べ過ぎを促すホルモンも分泌。その結果、さらに高脂質の食物が欲しくなるのだそうです。
この研究では、脂質の摂り過ぎが肥満の原因とされています。たしかにその方が糖質制限よりも直観的にはわかりやすそうに思えます。
だって脂肪といえば“カロリーのかたまり”ですから。ダイレクトに因果を説明していると思えるでしょう。そしてこの説が正しければ、糖質制限ダイエットは無意味だったということになります。
最近の研究を調べただけでも、相反するものが出てくるのがダイエット研究の難しさでもあります。効果的なダイエットのために制限すべきなのは、脂肪か炭水化物か?
ここに挙げた以外にもまだまだたくさんの研究がありますが、正直なところ、どちらとも断言しきれないような……。
ということで、もう一つの研究を紹介しておきましょう。
イスラエルのワイツマン科学研究所によれば、「同じものを食べても、太るかどうかは人によって異なる」のだそうです。思わずずっこけそうな結論ですが、その原因は腸内フローラ。腸内の細菌やバクテリアの環境によって、太るのかが変わってくるというのです。