人工知能はコピーできる知性 人間と人工知能の未来を語る~長谷川修インタビュー(後編)
人類が初めて作り出した知性は、人類の未来をどう変えるのか? まったく新しい知を生み出す領域、人工知能という学問を東工大の長谷川修氏に問いかける。(全2回・後編)
スポンサーリンクスマートフォンが人工知能に!
- シンプルですが、すごいですね。
長谷川:今までフィナンシャルプランナーの方が、経験的に行われてきたことをSOINNが行うわけです。
これはSOINNを一般の方に使っていただく初めての事例になります。SOINNは家計簿ソフトだけではなく、あらゆるデータの解析が可能なので、スマフォの中で、ご自身専用の人工知能を育てていただきたいと思っています。
育成ゲームのような形で、自分のスマフォの中で人工知能が成長していく。スマフォの中で完結してるので、非常にプライベートな情報で自分専用のエージェントができるわけです。
- CMで携帯電話を擬人化していますが、まさにあれが本当になるんですね。
長谷川:自分のことをよく知ったAIは、スマフォから飛び出して別の家電に移ることができます。
たとえばクーラーに飛び移り、寒いのが苦手な人には暖房を強く、暑がりの人にはクーラーを入れるといったことができます。これが私どもの考えるIoT(Internet of Things)です。
- ネットへの接続環境がある家電であれば、すべてスマフォの人工知能が制御できますね。
長谷川:自分のことをよく知る人工知能が、自分に代わって家電を操作してくれれば、恩恵は大きい。
コピー1枚とるだけでも、ボタンがいっぱいあって面倒ですが、自分のAIに、「これができるか、聞いてきて」と命令すれば、自分のAIとコピー機が話をして、できるかどうか確認してくれるわけです。
人間に向けに作られているマニュアルをSOINN向けに少し変えて内蔵して、通信機能を用意していただければ可能です。
高齢化社会を迎え、私自身を含めてマニュアルの理解に苦労するユーザが増えると思われますが、マニュアルを読まなくてもSOINNに相談すれば、SOINNが代わりにやってくれます。
- 自分専用のサポートセンターみたいな感じですか?
長谷川:そうですね。規格の問題があるとは思いますが、デファクトスタンダードになれば周りがそれに合わせてくれると思います。アップルがiTunesで音楽のダウンロードを標準化したように、SOINNでIoTと人工知能の標準化ができればと思っています。