【食べる科学実験】第1回 電気肉、NHKの『ガッテン!』でガッテンされる(全3回)

電気肉、電気肉と騒いでいたら、4月27日、NHKの『ガッテン!』で紹介されることに! その顛末を紹介する。

川口友万| Photo by Taniguchi Masahiko,Tomokazu Kawaguchi|シリーズ:食べる科学実験

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電気肉、NHK『ガッテン!』に登場

ガッテン
NHK『ガッテン!』
4月27日(水)午後7時30分
再放送 2016年5月3日(火)午前0時10分
『新発見!鶏むね肉がこんなにもやわらかくなるとは!(仮)』で電気肉が取り上げられる

 メールが届いていた。

(ん? 「通電により鶏ムネ肉を熟成させるシステム」についての取材の件?)

 坂田先生からのメールである。

 麻布大学獣医学部・食品科学研究室の坂田亮一教授は電気肉(この名称は私が勝手に付けた。electrical stimulation=電気刺激や通電刺激と呼ばれる)を鶏胸肉に応用、そのせいで私に引っ張り出された。考えてみれば、迷惑な話である。

 電気を流すと、短時間で肉が熟成しておいしくなる。欧米では常識の電気肉だが、日本ではほとんど普及していない。正確な理由はわからないが、日本では肉のエイジングが浸透したのもこの数年の話なので、現場であまり必要とされていなかったということだと思う。

 どこでどういう話を聞いたのか、坂田先生に宛ててNHKの『ためしてガッテン』(現:「ガッテン!」)のディレクターからメールがあり、

1)どのようなメカニズムで「通電熟成」がおこるのか?
2)現在どのような形で、どの程度実用化されているのか?
3)乾電池などを使って、簡単な再現実験することは可能か?

 などを教えて欲しいというのだ。

(すいません、坂田先生、仕事増やしちゃって)

 そもそもの話の始まりは蛇蔵さんのマンガ『決してマネしないでください。』であり、そこに載せた通電肉のネタ元は薬理凶室の『アリエナイ理科ノ実験室』であって、私に責任はないような気はするのだけど。

 坂田先生からメールが転送され、ディレクターとのやりとりをしばらく見ていた。しょせんは他人事と思っていたら、

「私NHKためしてガッテンディレクターの廣渡と申します。麻布大学の坂田先生よりご紹介いただき、ご連絡させていただきました」

 ありゃ?

「そこで、川口様にご相談なのですが、私どもでは通電熟成の紹介にあたって非常にインパクトのあるイメージ映像を撮影したいと考えています」

 そ、そうなの?

「『科学実験酒場』で行われたような、電圧による放電を再現で行っていただくことは可能ですか?」

 他人事ではなくなってしまった。

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